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北の旗艦から世界へ──財務も盤石、ゴールドウインが描くグローバル成長戦略

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ゴールドウイン、札幌・4PLAにGoldwin旗艦店をオープン

ゴールドウインは独自ブランドGoldwinの旗艦店を札幌・4PLAに出店。ノース・フェイスに次ぐ柱として海外展開を狙い、プレミアムスポーツブランドの確立を目指す。国内4店舗目となる札幌店は、インバウンド客も見据えた戦略拠点で、自然素材を使った内装やサロンスペースを備え、上質な体験を提供。中国や欧米での積極展開と並行し、Goldwin単体での黒字化・営業利益率20%を視野に、日本でブランドの芯を育てる方針。今後は大阪・福岡にも出店予定。

成長を支える財務の強さと高い利益構造

一方、その挑戦を下支えする財務面にも、注目に値する力強さが見られます。企業の成長を象徴する企業力総合評価グラフは、真っすぐ上昇し、ついに超優良企業の領域へと突入しました。営業効率を示す財務指標も申し分なく、2021年を除いて安定した増収基調(青棒)を維持。売上高総利益率(オレンジ線)は約52%と高水準で推移し、利益を生む構造がしっかりと機能していることが分かります。

収益性と財務運営の巧みさが生む企業体力

その堅実な成長は、コスト構造の改善にも反映されています。増収に伴い、売上高販売費および一般管理費比率(黄線)は着実に低下。営業利益率(青線)は16%に達し、収益性の高さを物語ります。特筆すべきは、売上高営業利益率をさらに上回る経常利益率(緑線)であり、その差は6.72ポイント。本業の利益だけでなく、財務運営の巧みさが生み出す真の企業体力が光ります。

攻めと守りの両立、ゴールドウインの企業哲学

貸借対照表(BS)の推移からも、攻めと守りの絶妙なバランスが見て取れます。目の前の成果に溺れることなく、未来を見据えて土台を築き続けるその姿勢は、まさにゴールドウインという企業の真髄。収益を再投資しながらも財務体質の強化を怠らず、世界に向けた飛躍の準備を着実に進めています。ゴールドウインは今、静かな自信を胸に、グローバルブランドへの道を力強く歩み始めているのです。

250827ゴールドウイン企業力総合評価営業効率財務指標・数値BSバランス
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山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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