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ファナック×エヌビディア提携──フィジカルAI時代の主導権を握るのは誰か

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目次

フィジカルAI時代に向けたファナックとエヌビディアの提携

産業用ロボット世界最大手のファナックが、沈静化する市場に一石を投じる動きを見せている。AIを活用した新時代のモノづくり──いわゆる「フィジカルAI」への本格対応として、米エヌビディアとの提携を発表した。

エヌビディア製の組み込みコンピューターを採用し、音声指示を理解するロボットや、人との協働が可能なスマートロボットの開発を加速。仮想空間上でAIに学習させ、現実の工場へ即座に適応させる仕組みだ。ROSやPythonにも対応し、外部開発者によるアプリ開発も容易にすることで、ソフトとハードの両面でエコシステム主導権を狙う。

累計出荷100万台超──攻勢へ転じるファナック

市場では導入が進まない現場も多く、年間出荷台数は約50万台にとどまる。そんななかでの今回の提携は、累計出荷100万台超・世界シェア2割という強みをテコに、守勢から攻勢へと舵を切る一手となる。

財務分析:安定性の裏に見える攻めの必要性

財務面でも、同社の立ち位置は際立っている。企業力総合評価企業力総合評価
成長に関連のある指標を統合し、企業の成長を表したグラフ。
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は国内でも上位に位置し、堅実な経営体質が目立つ。とはいえ、営業効率営業効率
「儲かるか」を示す統合指標。
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指標を見ると「攻め」が求められる局面に入っているのは明らかだ。

251202ファナック企業力総合評価
251202ファナック企業力総合評価

売上高利益率の長期低下とAI改革の可能性

売上高総利益率売上高総利益率
売上総利益÷売上高×100(単位:%)
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(オレンジ線)は、2016年3月期の47.55%から2024年3月期には34.09%と、依然として高水準ながらも長期低下傾向。販売費及び一般管理費比率販売費および一般管理費比率
販売費および一般管理費合計÷売上高×100(単位:%)
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(黄線)はじわじわと上昇し、それに伴い売上高営業利益率売上高営業利益率
営業利益÷売上高×100(単位:%)
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(青線)・売上高経常利益率売上高経常利益率
経常利益÷売上高×100(単位:%)
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(緑線)・売上高当期純利益率売上高当期純利益率
当期純利益÷売上高×100(単位:%)
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(紺線)も軒並み悪化している。こうした状況下で、AIという外部テクノロジーを取り込んだ改革は、業績回復への突破口と位置づけられる。

251202ファナック営業効率財務指標・数値
251202ファナック営業効率財務指標・数値

生産性指標から見える停滞とギャップ

さらに注目すべきは生産効率生産効率
人の活用度を評価する財務指標の統合指標。
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の指標である。1人当たり売上高1人当たり売上高
売上高÷総従業員数÷1000(単位:千円)
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(オレンジ線)は過去10年間で大きな改善が見られず、自社の生産性向上が停滞している様子がうかがえる。産業用ロボットそのものが生産性向上のための装置であることを踏まえれば、このギャップは企業経営にとって重要な論点となる。

251202ファナック生産効率財務指標・数値
251202ファナック生産効率財務指標・数値

BSから見る堅固な財務基盤と投資余地

一方で、同社の貸借対照表(BS)推移からは盤石の財務体質が読み取れる。潤沢なキャッシュと無借金経営を背景に、リスクを取った先行投資が可能な状態にある。

251202ファナックBS推移
251202ファナックBS推移

日本製造業全体に与える影響

AIとロボティクスが本格的に融合する時代において、ハードウェア主導のファナックがいかにソフトウェアソフトウェア
業務用に使用するプログラムやアプリケーションで、無形固定資産。
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の世界でポジションを築けるか──その成否は、日本の製造業全体の方向性を占う指標となるだろう。

■この企業の最新の分析はこちら → https://bm.sp-21.com/detail/E01946

※本記事に掲載された図表・グラフはすべて、企業力Benchmarker(株式会社SPLENDID21)による分析結果に基づいて作成されています。

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Picture of 山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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