創業家に11年ぶりの経営バトンが渡る
2025年、サントリーホールディングスの社長に就任したのは、創業家出身の鳥井信宏氏。実に11年ぶりに、経営のバトンが創業家に戻ってきたことになります。この節目に、私たちは何を読み取り、どんな未来を期待できるのでしょうか?
鳥井氏は、社長の役割を「運を引き込むこと」と語ります。これは一見すると抽象的に聞こえるかもしれません。しかし、彼はその運を呼び込むために、創業者・鳥井信治郎氏の言葉である「陰徳を積めば運が舞い込む」を信じて実践しているのです。目立つことなく、正しい行いを積み重ねていく――それが、企業の長としての覚悟なのではないでしょうか。
鳥井信宏氏が掲げる「4F」の経営哲学
また、鳥井氏が大切にしているのは「4F」という哲学。フラット(Flat)、フランク(Frank)、フレキシブル(Flexible)、そしてファン(Fun)。
「仕事なんて楽しくなければ意味がない」と語る彼の姿勢は、組織に風通しの良さと活力をもたらすはずです。
堅調な成長を示すサントリーの財務指標
財務の側面から見ると、今のサントリーは非常に好調です。
企業力の総合評価は堅実な右肩上がり。
増収傾向のなか、営業効率は改善され、
売上高総利益率
製品・商品・サービスが生み出す利益のことです。
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の悪化を
販売費および一般管理費比率
販売費及び一般管理費をどれくらいかけているかを売上高を基準に計算する指標です。。
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の適切なコントロールで補い、
営業利益率
本業での利益を示します。
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は10%超という高水準を保っています。
これは簡単に成し遂げられることではありません。
生産性向上と無駄のない資金管理
さらに、従業員数はほぼ横ばいにもかかわらず、1人当たりの売上高などの生産性指標は2021年以降、着実に改善中。
つまり「人を増やさず、質で伸ばす」経営がしっかり根づいているようです。
財務基盤にも安心感があります。現金預金は資金繰りに必要な水準に抑えられ、無駄な遊休資金を抱えない、機動的な資金管理がなされている点も評価できます。
総資産は増加傾向にありますが、それ以上に
純資産比率
企業の財務的な安定性を示す指標です。
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が上昇しており、企業体質はより健全になっています。
“整った”サントリーが描く次の一手
こうした良好な企業状態をもって、鳥井氏は6代目としてサントリーの舵を取り始めました。
“整った”財務に後押しされ、これからのサントリーはどこへ向かうのでしょうか?
本当に「世界的ブランドの育成」は実現するのか?
そして、鳥井氏が引き込もうとする“運”が、どんな未来をもたらすのか――。
私たちは、サントリーという企業の「次の一手」に、大いなる期待を寄せて見守っていきたいと思います。
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