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営業利益率51.9%、年収2039万円──キーエンスが築く“善循環”経営の実像

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目次

キーエンス、年収2039万円でもなお圧倒的水準

キーエンスの2025年3月期、平均年間給与は2039万円。2年連続で微減とはいえ、4年連続で2000万円超えを堅持。過去最高だった2023年3月期の2279万円からは減少も、依然として圧倒的な水準。コロナ禍で落ち込んだ20年・21年を除き、18年以降すべて2000万円超。成果主義と高付加価値経営がもたらす、破格の報酬が注目されます。

財務数値に表れる営業効率と利益構造の強さ

財務の視点で見ても、その強さは際立ちます。営業効率財務指標数値グラフによると、コロナ禍の2020~2021年にかけて減収(青棒グラフ)だったものの、売上高総利益率(オレンジ折れ線)は落ちず、2022年には強烈な増収を記録。さらに2025年には83.81%に達し、製造業としては驚異的な水準を誇ります。給与を上げた影響もありで売上高販売費及び一般管理費比率(黄折れ線)は悪化しましたが、売上高営業利益率(青折れ線)は依然として51.91%と圧倒的な高水準。

盤石な財務体質と経営の善循環

この高利益率が、総資産金融資産比率65.9%という盤石な財務体質を実現。営業外収益の増加にもつながり、さらなる利益の積み増しを可能にしています。数字が物語るのは、まさに“善循環”の経営です。

250617キーエンス営業効率財務指標数値・総資産金融資産比率
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山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
山本 純子
山本 純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。 多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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