サッポロホールディングス(HD)が所有する「恵比寿ガーデンプレイス」を含む不動産事業の売却が本格化しています。買い手候補には三菱地所、東急不動産のほか、ベインキャピタルやKKRといった海外投資ファンドも名を連ね、2025年8月の二次入札を経て11月にも売却先が決定する見通しです。
“都心最後の一等地”売却の背景
恵比寿エリアは再開発の余地が大きく、“都心最後の一等地”とも評される稀少性から、各社の注目を集めています。ただし、再開発には建設コストの高騰や既存施設の構成変更の難しさといった課題も存在します。
本業回帰と財務戦略の転換
今回の売却で得た資金は、主力である酒類事業への再投資に充てられる方針です。収益性の高い不動産資産を手放すことは一見リスクに見えますが、それ以上に本業回帰による企業再生の意思が読み取れます。
企業力総合評価の停滞
財務面から見ると、サッポロHD(黒)は、キリンHD(青)、サントリーホールディングス(赤)と比較して、企業力総合評価が最も低位で推移。過去10年にわたって「黄色信号」ゾーンから抜け出せていません。

人員削減と業績回復のジレンマ
生産効率に関する財務指標では、2018年以降従業員数(青棒グラフ)が減少傾向にあり、それに伴って1人あたり売上高(オレンジ折れ線)も2020年まで低下。経営は一時的に危機的状況に陥っていました。

その後、業績は持ち直し、1人あたり売上高は回復基調にありますが、営業効率(赤青ゼロ判別)の面では依然として課題が残ります。


固定資産の重さと構造的リスク
BSバランスの推移を確認すると、固定資産(水色)の比率が依然として高く、ここ10年間に大きな変化は見られませんでした。今回の売却は、この“重さ”の構造を軽くし、財務体質をフレキシブルにするための重要な一手と位置づけられます。

“恵比寿を売って酒を造る”という意思表示
「恵比寿を売って、酒を造る」。
その選択は、単なる資産整理ではなく、“本業に集中する”というサッポロHDの戦略転換を象徴しています。

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