25%の関税――トランプ政権の再登場とともに現実となった米国の通商政策は、SUBARU(スバル)にとって危機的とも言える影響を及ぼします。米国市場が売上の7割を占める中で、日本からの輸出比率は依然として約半分。仮にこの関税がフル適用されれば、営業利益で約3600億円規模の減益リスクが浮上します。
緻密に構築されてきたグローバル・サプライチェーンの恩恵を享受してきたスバルにとって、外的ショックへの耐性が問われる局面です。
しかし同社は、逆境の中でも次なる手を打ち始めています。日本およびカナダ市場のてこ入れに加え、米インディアナ工場の生産能力増強に着手。コスト最適化と関税回避の両立を狙う動きです。一方で、群馬県を中心とするサプライヤー網への影響もあり、経営のかじ取りは一段と慎重さを増しています。
「スバルには安心感がある」──40年間株を保有し続ける株主の言葉です。「逆風の中でもスバルは負けない」と語る株主もいますが、今、企業として問われるのは“信頼される”だけでなく、“実際に守れる”力があるかどうかです。
企業力の回復と営業効率の改善
財務面では、企業力総合評価が2021年に一時低下したものの、2022年以降は回復。特に営業効率指標の改善が、再成長の起点となっています。



棚卸資産の戦略的増加
注目すべきは「棚卸資産」の推移です。第一次トランプ政権下の2018年、関税が発表された直後から、スバルは棚卸資産を増加させ続けています。

これは、完成車や部品在庫の確保を通じて、将来的なサプライショックに備える戦略的備蓄と見ることができます。保管場所は公表されていないものの、米国関税リスクを予見した動きとして捉えると、“先を読む企業”としての素地が垣間見えます。
サプライチェーンの再構築は、一朝一夕では成し得ません。SUBARUのように、信頼と堅実さを武器に、未来への「備え」を進める企業こそが、次の時代の主役となるのかもしれません。
■この企業の最新の分析はこちら → https://bm.sp-21.com/detail/E02652
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